債務整理に闇金は含まれるか?

消費者金融からの借入れだけではなく昨今では銀行のカードローンによる破産者が増えてきていると言われています。過払い金などの発生は少なくなりましたが代わりに自己破産が増えていることは問題ではないでしょうか。

そんな折、ある相談者さんから債務整理についての電話相談が入りました。自己破産を検討しているが司法書士事務所や弁護士事務所に依頼する際、何に気をつければよいかということでした。

そこで今回は意外にも理解されていない方が多いことについて触れてみようと思います。時間が無い方は色の付いている箇所と太字になっている箇所を読み飛ばせばこの記事の主旨を理解することが出来るようにしております。

闇金は債務整理対象外

あまり知られていないとわかるようになったのはつい先日のことです。あまりにもこうした相談を多く頂いていたため私たちも感覚がマヒしてしまっていたようで目に鱗でした。さっそく本題に入りたいと思います。

債務整理を検討している方で闇金もしくはそれに該当するような無登録業者からお金を借りている方は気を付けてください。弁護士が取り扱う債務整理とはあくまでも国が認めている貸金業登録を行っているまっとうな業者に対してのことであり、違法業者を対象にはしていません。

つまり、債務整理をするにあたり闇金業者から借りている案件についての取扱いはしてもらえないと考えなければならないのです。

たしかにごく少数ではありますが闇金被害の取扱いをしている弁護士事務所で一緒に処理してくれるところもあるようなのですがその場合でも別途費用がかかるといった状況ですしあまり良い顔はされません。

なぜか?

仕事内容が全く異なるからなのです。

債務整理は大きく4つに分類できます。以前は3つでしたが出資法と利息制限法の裁判結果により「過払い金」がクローズアップされたため弁護士界では4つで考えるようになっているようです。

・任意整理
・民事再生
・自己破産
・過払い金

内訳としては4つになりますが現在のところ最終的には自己破産になってしまうケースが多いようです。それぞれの説明はこの場では差し控えたいと思います。

債務整理は昔で言うところの借金棒引きという状態になるわけで消費者金融や銀行は丸損になるわけです。それでも以前は保険会社と契約を結すび損をしないようにしていたのですが雑誌にそのことがすっぱ抜かれ世論が大反発したためその保険契約も表面上はなくなってしまいました。もう大分まえの出来事なので業界関係者でも知っている人は少ないのかもしれません。

おそらく15年から20年くらい前だったように記憶してますがそんなことがあったのです。例えば、消費者金融からお金を借りている債務者が返済半ばで亡くなってしまったとしましょう。通常であれば無担保、無保証人で伸びてきたキャッシング業界からすると完全なる「とりっぱぐれ」になってしまいます。

ところが消費者金融会社と保険会社の間で債務者の保険契約を取り交わしていたのです。個々の人物というよりも会社対会社という大きな単位であったと記憶しております。消費者金融の顧客(サービス)に対して保険をかけると言うことです。支払い対象としては債務者が特定条件下(亡くなってしまう等)においては損金を保険会社が支払うといった具合だったと思います。

返済出来ないのなら保険をかけなさい

というまるで昭和の団地金融業者のような出来事が本当にあったと言うことです。たしか当時の雑誌などもこのような過激な論調で揶揄していたと思います。その後、世論が大反発したため知っている方もいるかとおもいます。今思えば消費者金融の落日はこの時に始まったのかもしれません。

その後、全盛を誇っていた金融業界に暗雲が立ち込めます。それまで日本では上限金利が29.2%だと言われ誰もそれを疑わずに当たり前のように貸付利率をそのように設定していました。銀行等はリスクヘッジしていたようですが。

ところが裁判の判決でそれが認めませんよ!となってしまったわけですね。日本には出資法と利息制限法があり2つの上限金利があったのです。

かんたんに説明すると利息制限法では貸付金額にもよりますが最大で20%の利息が認めらております。しかしながら出資法では29.2%までが法定金利であると定め、それ以上の利息で貸し出すと刑罰に処されますよと定義付けているんですね。

そこで各金融業者は利息の高い方を軸にして貸借契約書を作っていたわけです。企業は営利を追求する団体ですから当然です。

この2つの上限利息の差異を

グレーゾーン金利

と呼びます。ところが裁判で負けてしまったわけですね。

グレーゾーンなんて事じゃなくて利息は20%まで!

と判例が出てしまったわけです。その時の判例がこれです。

2006年1月13日:平成16(受)1518

要旨:

  1. 貸金業法施行規則15条2項の法適合性
  2. 債務者が利息制限法所定の制限を超える約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約の効力
  3. 債務者が利息制限法所定の制限を超える約定利息の支払を遅滞したときには当然に期限の利益を喪失する旨の特約の下での制限超過部分の支払の任意性の有無

なんのこっちゃい?という感じですが裁判所の文章とはおおむねこんな感じでわかりにくいです。理解として出資法ではなく利息制限法で考えなさいと言うことです。利息制限法での最大上限金利は20%ですからそれ以上の利息は無効ということになるわけです。

そのことに目を付けたのが弁護士業界だったのです。判例が出た以上、戦ってもこの判例を基本にされてしまうため29.2%で契約していた全ての対象者がキャッシング会社に勝訴する可能性が多いに高まったわけです。

すでに長期にわたり支払っていた方においては年で約10%ほど多く支払いをしているため利息の払い過ぎが発生する事態が生じたんですね。これが過払い金です。

お金がもどってきた!!

という点だけクローズアップした結果、それまで弁護士にまったく触れることがなかった人たちにまで弁護士の活躍の範囲が広がったことはおおいに良いことだと思いますが同時に弁護士を使って借金の棒引きもできることが分かってしまったわけです。

過払い金が発生しない場合でも、これ以上返済したくない、返済できないという債務者に対して債務整理をすれば生活が安定しますから再出発しやすくなります。という宣伝で債務整理をあおったわけです。

過払い金だけではなく結果的に、債務整理という現代の徳政令を債務者が知り、積極的に活用したわけです。過払い金問題は数年間、弁護士を多いに潤わせたと言えますが消費者金融業界も契約の更新などいくつかの対応策を発動させてきたため今はそれほど大騒ぎすることも無くなりました。しかし結果的には自己破産者を増やすことにもつながったと言えます。

さていよいよ本題に入りますがこの債務整理、およそ10年の月日が経過した事により一般的にも認知されるようになりました。借金に苦しむ債務者の最後の一策として有効打になりましたが勘違いをしてしまう方もまた出始めたのです。

闇金は貸金業者ではない

この一語に尽きます。そもそも闇金の定義は貸金業登録をしていないにも関わらず貸金業を行っている点です。貸金業法違反ですね。さらに上限金利を超えた貸付は出資法違反に問われます。つまり違法組織な訳です。

債務整理はあくまでも法律の範囲における救済法として存在しておりますから最初から違法行為をしている業者に対して効果はありません。

また弁護士事務所は闇金を金融業者と認識しておりませんので債務整理の受任範囲に闇金との交渉は入っていないのです。従って、闇金から借りている借金に関して相談をしても受けてもらえないのです。また債務整理を扱っている弁護士事務所が闇金案件を扱わないのはもう1つの理由があると想定できます。それは、債務整理は書類作業であり、闇金は交渉作業であるという点です。

債務整理は最高裁の判決が出ているため以後、同様のケースについて争ったとしても同じように消費者金融業界が負けてしまう可能性が高まりました。それであれば無駄な裁判費用を使うよりも過払い金請求をしてきた債務者に対しては返金してしまえという流れになったんですね。それがあまりにも膨大な数と金額だったためキャッシング業界は一気に斜陽産業になってしまいましたが。

そして債務整理者について企業は取りはぐれているため信用情報機関にその旨を記録することで業界の再編をはかったわけです。

弁護士業界ではこんなにおいしい仕事はなかったと言われるほどに楽な作業だったためこぞって債務整理業種に参加してお祭り騒ぎになったと言われています。相手にひな形書類を送りつければ争うことなく簡単に折れてくれるわけですからね。作業自体は事務員が行っていると思われますので先生は債務者と面接をするだけです。あとは書類のやり取りだけです。

自己破産等は面接がありますからそのレクチャーをする必要がありますけれどもそれとて何日もかかるというものではありません。全盛期での自己破産費用は30万円~と言われましたから割は相当に良い仕事だと言えるでしょう。

では闇金はどうでしょうか?

闇金は書類で片付く問題ではありません。書類など届く場所も無ければ相手の本名すらもわからないのですから対応が出来るのは唯一、相手との電話だけなのです。そこでどのようにして債務者への執拗な取り立て行為等を辞めさせるかと言うことになります。完全なる交渉術です。

何度も何度も業者に連絡をして債務者に対する嫌がらせを辞めるように説得するのが弁護士事務所の仕事になります。根気がいる作業でもあれば終わりが見えない場合もあるでしょう。それでいて費用は5万円と債務整理に比べると作業は多く、費用は少ないのです。おいしい仕事とは言えませんね。

交渉術である以上、完全決着というわかりやすい結論が出づらいことも問題だと言えます。例えば業者がこれ以上、粘着しないからと弁護士事務所に話をしたとしても1週間後に気が変わって電話をすれば弁護士事務所のメンツ丸つぶれです。そして追い込まれて藁をもすがる気持ちで頼んできた依頼者からすれば、

役に立たない

と言われかねないのです。債務整理は最終的な結論がしっかりと見えてますから100%の解決というわかりやすい答えがあるのに対して闇金は相手の出方次第というこれまた微妙な解決の上に成り立つビジネスなのです。

以上のことから弁護士事務所に債務整理を依頼し、闇金からの借金についても解決をお願いすると断られてしまう理由と当サイトでは結論付けております。

闇金の借金の解決方法は?

では債務整理を検討していて闇金からも借り入れがある場合はどうすればよいのでしょうか?当サイトで推奨する解決方法は以下となります。

・債務整理を依頼する弁護士事務所で闇金被害についても取扱いがあるとこを探す。

少ないながらも実際にそのようなところが存在します。圧倒的に闇金被害の取扱いをしている事務所の数が少ないのでまず闇金問題についての無料相談を行いその際に、債務整理をお願いしたいと相談してください。部署が異なる場合1つ1つの相談になる場合もありますが一番手っとり早いです。

闇金被害を扱っている法律事務所

・すでに受任されていて闇金を断られた場合

このケースが少なからず存在します。その場合はまず債務整理をお願いしている法律事務所に闇金被害については専門の法律事務所に依頼をしたいので問題ないかについて確認をした上で闇金問題解決のための法律事務所を探すようにしてください。

法律事務所は縄張りとは言いませんが自分で受けている顧客が知らないところで別の同業種の先生とも付き合いがある事を快く思わない先生が多いのです。どこの業界でも同じかもしれませんが孤高の戦士の意味合いが強い法律業種では特にその傾向が強いことを認識しておくことが大切です。

結論

当サイトでの結論として、債務整理を検討している方で闇金からの借金がある場合、それは2つの借金という認識を持つことが大切であるとします。

闇金は借金ではなく、被害金であるという考えで臨む必要があると言うことです。

闇金サイトに申し込みをしてしまい相手から連絡が来てしまっている等の方は無料相談までお電話ください、その問題解決出来ます。


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