【事件を読む】闇金利益2億5千万円宅配便悪用、5容疑者再逮捕

闇金は徹底して許さないという警察の固い決意を感じる記事が出ました。すでに逮捕されている闇金グループが再逮捕されました。今回は出資法違反での再逮捕ですが、脅迫的な取立行為などが立証されるようであればさらに罪状は重くなると思われます。

さて今回の事件を読むですが逮捕された闇金グループがおこなっていた行為が今のヤミ金業者の手口と異なる昭和の手口であることについて考察してみます。

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昭和の闇金手法で荒稼ぎ

このグループの特徴は闇金業者として貸付を行っていたことにあります。今のヤミ金は貸付行為を行っていないため詐欺に分類されますが、この業者は古いやり方で荒稼ぎをしていたことが記事から読み解けます。

飲食業の3人に合計23万円の貸付と言う事は1人当たり約8万円相当で現在の闇金では押し貸し詐欺でもここまでの貸付は行いません。つまり本当に貸付をしていたことの証明となりえると考えます。
もちろん、違法な無許可金融ですから金利は法的利息の10倍という厳しいものであり容認することなどできません。

さらにこの業者は本来であれば嫌がる自営業者を中心に貸し付けていた点にあります。店舗運営をしている飲食業の自営者であれば店をほっぽって逃げる可能性が少ないと言うことを見越していたようです。
自営業は商売が安定せず、収入が月ごとに大きく異なるためキャッシング会社などは敬遠しがちです。もちろん、白ロム詐欺や押し貸し作業業者もあまり好みません。同じ追い込み行為を行っても実る可能性が少ないからです。

そんな他人が嫌がるジャンルを中心に仕事をしていたということはよほどのノウハウがあり、頭の切れる人物がいたのだと言えます。記事からは逮捕された人物が元々闇金もしくは金融関係者であると書かれていることからプロの目を持ってビジネスを冷静にとらえていたことが分かります。それは文末にある、

「拠点のバスタブに水を張り、警察が踏み込んだ場合はパソコンを投げ込んでデータを消去する準備をしていた疑いもあるという。」

なる一文から容易に把握する事ができます。さらに、銀行口座の売買から逮捕されることを経験でしっているため、お金のやり取りは宅配便をつかうというロト6詐欺や競馬詐欺の手法も取り入れていることからモデルは昭和の闇金でも行為は最新であったと言えます。

闇金を扱った漫画で大人気の闇金ウシジマ君の世界そのままではないでしょうか。当サイトではこの漫画の手口は以前のスタイルで現代の闇金ではないと伝えてきましたが、少数派ではありますが漫画のスタイルを続けている闇金業者も存在していたということがわかりましたので訂正しなければなりません。

そして今回事件を読むが目をつけたのは、彼らがどうやって顧客を見つけていたのかです。
ネット型の闇金はサイトをつくって広告宣伝をします、融資保証型詐欺を中心に展開している闇金はFAXを使って集客を行うのが常套手段です。
記事を読みなおすと、

「グループはインターネットの電話帳などを基に、2014年12月以降、全国各地に手当たり次第に電話をかけて顧客を勧誘。」

少し曖昧な書き方であると言えないでしょうか?インターネットの電話帳とありますがお店の電話番号などが一覧で出ているようなものはありませんでした。
電話帳では無くレストランを紹介しているサイトなどに、

「秋葉原+居酒屋」

などと検索をして出てきたところに電話をしていたのではないでしょうか?店を構える店の自営業者と言う表現からこのような検索方法で一覧ページを見つけてはその場で電話をするという手法であったと思われます。

そして1日800件もの電話とありますがこれについても少々疑問符があります。
新規営業会社などでひたすらに新規電話をかけたことがある方であれば違和感を感じると思いますが、土曜日など相手が出にくい状況で電話をかけ続けたとしても1人あたり1日150店舗位が限界です。話ができた時間を含めると件数はさらに減ります。

このことから800人と言うのは5人で1日にかける電話であると考えることができます。また月に2万件以上という電話本数から逆算すると少なくとも25日以上は5人全員が出勤していたと考えられます。どれほどの顧客が新規で発生していたのかわかりませんが、1人あたり3人と融資の話をしていたのであれば100件以上の電話をかけることは難しく、結果的に休日はほとんどなかったのではと想像できます。
そこまで頑張れるのであればその能力を是非、まっとうなことに使ってもらいたいと切に思います。

最後に書かれている記事から5人が手にしたお金をわかりやすくひも解いてみます。

騙し取った利益:250,000,000円
活動期間:昨年5月から今年1月(9ヵ月)
人数:5人

ここから算出すると、

1ヵ月の全体売上:27,777,777円
1ヵ月の単人売上:5,555,555円

9か月の個人の売上:49,999,999円

闇金が減らないと言える理由がここにあると言っても過言ではありません。しかし、彼らは捕まりました。そして刑事罰を受けることになります。再逮捕ですからその点を加味して罪を書き出してみました。

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初回の逮捕:貸金業法違反

最長1年6ヵ月の実刑があるようです。罰金刑もあり、300万円×同法違反の数ですから違反件数をかければ簡単に1,000万円を超える罰金になります

再逮捕:出資法違反
懲役5年以下、または罰金1,000万円以下(併科あり)の刑事罰

これだけではありません。彼らが行っている闇金行為の中には下記に抵触するものもあると思われます。

恐喝罪:法定刑は10年以下の懲役である。
強要罪:3年以下の懲役
業務妨害罪:3年以下の懲役または50万円以下の罰金

店舗を持つ自営業者にターゲットを絞り会いに行って取立を行った場合はさらに、

住居侵入罪
不退去罪

などに問われる可能性もあります。これに組織的な介入があればさらに刑期は長くなります。
逮捕容疑である貸金業法違反、ならびに出資法違反で罰金を加味すれば売上の全てを失ってさらに懲役になると言うことになります。

これが割に合う商売であると言えますか?


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