騙されたのに犯人になってしまう?

更新:1年以上前に書いた記事ですがその後、被害者と警察、銀行のズレは解消されるどころからさらに広がっていることが分かってきました。どのような理由があるにせよ自分の手足を使って携帯電話を買って送ってしまったのであればそれは本人の過失をないがしろに出来る問題ではないのです。

被害者さんに正しい知識を持っていただきいと思い、被害者相談で頂いたお声の中から勘違いしやすい点について記事にしてみました。

携帯電話をだまし取られたので相手を告訴したい

騙されたことが悔しくて攻撃的になる相談者さんなどがよく言われる言葉です。
携帯電話買取詐欺は騙された時点で自己過失も問われてしまいます。
つまり、騙された方も思量が足りないと言うことでデメリットが発生してくると言うことです。

闇金の行為は違法で許されるものではありません。携帯電話を意図的にだまし取る行為は犯罪であり詐欺罪として問われるべきものであると言えます。他にも出資法違反や脅迫があれば脅迫罪など複数の罪に問われます。このことは変わりません。しかし携帯詐欺の場合はもう少し状況が複雑になるのです。

闇金が融資の条件として携帯電話を購入してもらうことと言ってきます。そして携帯ショップに行って買ってきてくださいと勧誘してきます。
この際、携帯ショップに行くのは被害者本人となります。

携帯ショップで利用目的を訊かれたりする場合もありますが、仕事用に使いたい、2台持ちにするなど適当な理由を述べて購入します。この時点で携帯会社に対してウソをついたことになります。なぜなら、あなたが購入した本来の目的はそれではないからです。
そして、携帯電話は本人以外の利用を厳しく制限された商品ですから自分以外の人物が利用するようなことを認めてません。携帯電話を闇金に渡す行為は携帯電話会社が定めた利用規約に違反します。

このことからどのようなことになるのかと言うと、

被害者さんは携帯電話会社から本来の使用目的とは異なる理由で携帯電話を購入し、犯罪組織に手渡したと判断されます。台数が多かったり悪質性が認められる場合、携帯電話会社は被害者さんの行為を詐欺と考え警察に被害届を提出します。

もうお分かりだと思いますが、闇金に騙されたはずの被害者さんは携帯電話会社からみれば加害者になってしまうのです。
「警察に行って全てを話せば分かってもらえる」
と言われる相談者さんもおります。実際に警察に相談された被害者さんからの回答で多かった内容を下記します。

警察:「闇金に騙されたことはわかりました。ただ、携帯電話を買って本当に融資が受けられると思ったの?本当は闇金に売ることでお金をもらえるっていう意味じゃないのか?
もしそうなら、犯罪を手助けした行為になるので警察としては被害届を受理する事は出来ない。
もちろん、その携帯電話で犯罪が行われれば貴方も犯罪者になる可能性があるんですよ。」

現状では多くの警察でこのように言われてしまいます。事実、警察が主張している事は何ら間違いではないのです。携帯電話とは携帯電話会社が販売する商品で利用規約を守って利用しなければなりません。

他人名義の携帯電話による犯罪がことさら多くなってきている昨今では言い訳など通用しません。

軽い気持ちで銀行口座を売ってしまった

銀行口座凍結も昨今、大変に相談件数が多くなっている問題です。銀行が凍結されて初めて危機感を募らせる被害者さんが大半ですが、事の重大性を甘く考えている方がとても多いのが気になります。
脅かすつもりはありませんが、口座買取屋の暗躍などもあるため甘い気持ちでいる被害者予備軍の方向けに強い言葉で書いていきます。

特殊詐欺で警察が重点的に調べているのは道具屋と呼ばれる詐欺グループにツールを提供する仕事をしている人物です。
闇金やオレオレ詐欺であれば、振込用の銀行口座と勧誘用の電話です。

昨年からレンタル携帯電話会社が数多く摘発されております。特殊詐欺に携帯電話を提供する行為を無くすことで犯罪を減らすことが目的だからです。
摘発はほう助罪などではありません。
携帯電話不正利用防止法違反と呼ばれる犯罪行為を行った疑いでの摘発です。

同時に銀行口座についても厳しく眼を光らせているのです。銀行口座も携帯電話と同様、いやもしかしたら携帯電話よりも厳しい利用規約があるのです。

銀行口座は譲渡、貸与、売買はできません。

当たり前です。他人名義の銀行口座などロクな使われ方をされないからです。
業者が、節税対策だなどと言い訳を言ったとしても通じませんし、それに騙されるような被害者は自己責任が欠如しているとして同情してももらえません。

銀行口座を売ったり、手放したりすれば、本人以外の人物がその口座を使って色々な悪事を働きます。その行為により被害者が発生し警察に相談すれば、警察はその名義人の銀行口座を凍結するように銀行に指示します。

銀行は犯罪に使われている可能性があるとなればすぐに利用を停止し事実確認を行うため来店してもらいたいと連絡を取ってきます。このような電話を不審に思ったり、怖くて無視をしていると強制解約手続きになってしまいます。

来店すると警察が登場して事情聴取になる場合もあります。この時点であなたは犯罪者の一味として疑われていると言うことです。

警察は名義人の口座が犯罪に使われたとなればその名義人情報を預金保険機構に知らせます。この機構には日本全国の銀行が加盟しており定期的にデータの更新を行い、自分の銀行内に犯罪に加担している名義人の口座がないかをチェックします。

チェックした際、自分の銀行に名義人の口座があればその時点で口座凍結になります。最終的に持っている全ての口座が凍結もしくは強制解約になります

新規で口座を作りに行ってもリストと照合されるため、以前に凍結されている名義人は新規口座を作ることができません。現状では新規口座作れるまでの期間など存在せず、凍結された名義人は一生口座を作ることが出来ていないです。


相談者さんの多くは「無知とは言え自分がバカでした」と反省の弁を述べる方もいらっしゃいますし実際反省していることが電話口の声でもわかりますが、金融商品とは反省すればなんとかなるような甘いものではありません。
一度の失敗でおしまいです

今後この流れがゆるくなるようなことは無いと思われます。口座買取業者の甘い言葉に騙されてしまい口座が凍結されてしまったことについて生活がガラっと変わってしまい慌てて銀行や警察に助けを求めてももう遅いのです。

逆ギレして警察批判をしている方などもおられるようですが筋違いもいいところです。
事実、ある警察署に相談された方が警察官に言われたことを下記しておきます。

警察:「甘い言葉に騙されて銀行口座を売り払ってしまうのも問題ですが、それでどれだけの方が被害に遭われたのかあなたわかってるのですか?それを、生活が立ち行かなくなったので何とかして下さいなどとはあまりにも虫が良すぎるんじゃありませんか?貴方のやった行為はおよそあやまってすむような問題ではないんですよ。自分だけ何とかして下さいは通じないでしょうね。」

警察官も少し感情的になってしまったと言えますが、警察も銀行も銀行口座を他人に渡す問題についてこのような気持ちであることを忘れてはいけません。

新規口座の開設、落として悪用された口座凍結解除、闇金と関係が無いご相談についてはアドバイスをしておりません。


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