【事件を読む】闇金経営者を脱税で起訴、福岡地検

新たな闇金関連のニュースが紙面をにぎわせている。闇金の経営者が逮捕されたというニュースであるが今までとは違い脱税での起訴であるところが興味深い。
今回はこのケースの裏側にある真実を読んでみたいと思う。

出会い系サイトや競馬予想サイトを運営する企業が脱税容疑で税務署から調査されることがある。こうしたビジネスはよほど儲かるのだろう、後から後から出てきて増える一方である。ほどなく大きな市場が形成されるようになるのだが、そのころから被害相談も増えてくるのが特徴である。

市場が成熟してくると全体のパイが決まるため各社売上が天井を打つ状態になる。そこで業者は過激なうたい文句で自社のサービスにユーザーを取り込んでくるのだがこの過激さが問題になってくる。悪徳商法が違法商法と言われる転換点とも言える。

このような時期に入ったタイミングで税務署が動く時がある。大手出会い系サイトや老舗出会い系サイト、急成長中の競馬予想サイトを運営する企業に税務調査が入ってくる。
しっかりと税金を払っていればなんら恐れることなどないのだが、こういうジャンルの企業は節税ではなく脱税を行っていることのほうが多いのか定期的に税務調査が入っていると別段、気にも留めなかったのだがある人物からこうした動きには裏側が存在しいていることを聞かされ驚いた。

税務署はしかるべき税金を払っていないと勘ぐれば調査を開始し十分条件がそろえば、段ボール箱という必殺の武器を携えて企業に立ち入る権利を持っている。銃でもナイフでもない、この武器は現代社会において最も効果的な武器である。
彼らは証拠隠滅の恐れありとして、企業にある疑わしいと思われるものを全て押収し時間をかけて証拠固めを行っている。一般市民にとっては心強い味方であるが、よからぬ事を考える企業にとっては脅威であろう。しかも、脱税は蛇蝎のごとく嫌われる傾向があるのでマスコミ受けがすこぶる良く大見出しになるケースが多い。

さて、税務署では押収した証拠品の中で脱税の証拠を細かく探す訳だがこの作業は同時にその企業がやっているビジネスを詳しく知ることと同義なのである。どうやって売上を上げているのかを素通しにしなければ完全なるお金の流れは把握出来ないからである。

この時に違法性のある情報を見つけたら?

犯罪通報は義務である。従って、調査段階において刑事事件になりそうだと思えば警察へ届け出ることになる。
警察は刑事罰対象として立件出来るかを徹底して調べることになるわけである。

この流れがもし逆だったら?とその人物は指摘している。

税務調査

証拠品から違法性のあるものが見つかったかもしれない

警察介入

刑事事件へ発展

一般的にはこのように見える。しかし、別の角度から見るとこのように見える。

警察への被害相談が多い、しかし刑事事件として証拠固めするための言い分が無い

税務署に厳しくチェックするようにお願いをする

税務調査

証拠品から違法性のあるものが見つかったかもしれない

警察介入

刑事事件へ発展

つまり、被害相談から警察が動くことと税務調査が連動しているということである。大いにあり得るのではないだろうか。

さて、ここで話を今回の闇金経営者起訴に戻そうと思う。

ニュース記事では、無許可金融を営んだ元経営者が所得税法違反の罪などで福岡地検が福岡地裁に起訴したとある。
起訴状から被告は闇金融業務で得た所得を支払わなかった点で起訴されている。
この被告は九州サポートファイ安すなど4つの屋号で闇金行為を行っていたとのことである。

先の悪質商法に適用される流れを振り返って考えてみると今回の事件は警察の本音が見え隠れしていると思える。
闇金は社会問題化しているのは周知の事実だが、被害者が警察へ相談に行ってもなかなか被害届が入らないのが実情である。
警察としても闇金であると理解しているのだが立件を視野に入れたときに被害相談だけでは弱いと言うのが本音だと思われる。各警察署に被害届が入ったとしても金融サイト名が異なっていたり、すでに逃げてしまっていたりとまとまってこないことも問題の1つだと思われる。

そこで、一計を案じたと言うのがこのニュースの本質であると当サイトは考える。
税務署が所得税の申告漏れという名分で調査にはいったところ、そのお金は違法行為によって稼ぎだされた可能性があるとし、警察に通報したという流れであるが、被害相談により警察側としては概ね、この九州サポートファイナンスについて把握していたと思われる。
しかし、起訴立件するには証拠が足りない。
税務署から捜査依頼が入れば、先方で抑えたパソコンを調査する事ができ、違法性のある情報を見つけられるかもしれないという図式がでてくる。

つまりこの事件は所得税法違反だけではなく、出資法、詐欺罪なども視野に入れた出来事として読まなければならないと言うのが当サイトの見解である。
さらに言えば、闇金側に対して、脱税という今までに無かった方法でも調査できるんだぞ!というデモンストレーションでもあると言えるのではないでしょうか。

脱税で闇金業者を逮捕という今回のニュースはこのように読むことができると言えます。
実は記事はここで止まっておりません。志を同じくする闇金被害者救済の会によれば福岡は闇金相談が減っておらず電柱広告からネット広告にシフトしていると語っておりますが、これについてはいささか情報が遅いと言わざるを得ません。
当サイトでも取り上げておりますが、九州闇金は確かに他の地域の闇金と比べてネットにくるのが遅かったのは事実です。
しかし、ネットに出てからは独自のケースを確立しており今やネット闇金のモデルケースになるほど成長しているのです。

記事中にある文章を引用します。

相談を受けたなかの特徴的な事例として、会社や親族知人の携帯電話番号を提出させ、最初1万円貸し付けて返済を確認後、返済能力の調査を装って「30万円振り込め」と指示し、応じないと「振り込まないと会社に電話するぞ」「振り込まないとキャンセル料がかかる」と強要。振り込みに応じると、「お前がブラックだったから口座が凍結された。ほかに100万円入っていたが引き出せない。100万円振り込め」と要求がエスカレートしていき、結局340万円の被害にあったケースがあるという。

これは押し貸し詐欺と呼ばれる立派な違法行為で、文中からの手口は申し込みキャンセルという手口である。
残念なのはこうした闇金救済をしている会ですら、ブラックリストなるリストを引き合いに出していることである。
そのようなリストは存在せず信用情報機関がストックしているのはあくまでも個人の過去履歴なのである。闇金と同等以上の知識を持たなければ彼らの狡猾な心理戦には勝てないのではないだろうか。

今回の事件を読むは闇金経営者を脱税で逮捕を題材にその裏に隠された闇金包囲網について読み解いてみました。
文末になりますがニュースソースを記載します。

ヤミ金経営者を脱税で起訴、福岡地検~ヤミ金被害、福岡はいまだ高水準

追記:この流れは今後主流になる可能性があります。出会い系詐欺業者を摘発する際、特商法などで捜査をして押収したパソコンから違法なやり取りなどが発覚し別の容疑が持ちあがるといったケースがありました。
闇金業者の場合も脱税を軸に入ってきてやっていることの正当性を見極めるといった手法はアリではないでしょうか。税金を払うことすらも出来ないわけですからこれはコロンブスの卵てきな捜査方法になるかもしれません。

闇金業者の手口を教えてください。常に進化する業者の詐欺行為、電話番号、担当者名などを教えていただくことで被害を未然に防げる可能性が上がります。


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