【事件を読む】ネットバンキングの闇金を逮捕

昨今、携帯電話買取詐欺、白ロム詐欺などのニュースが増えてきている中、押し貸し詐欺業者が逮捕されたニュースが入ってきました。

今回捕まったのは、ネット集客型の闇金ではなくデータ、リスト型と呼ばれる個人情報を不正に入手してサイトを持たずに携帯電話だけで営業していくタイプで一般的に090金融、080金融などと称される類の業者です。

逮捕されたニュースからリスト型闇金の裏側に迫ってみたいと思います。

逮捕記事

ネットバンキングを使って、違法な高金利で金を貸し付けた男らが逮捕された。
及川勇太容疑者や小野田 拓郎容疑者ら4人は、ネットバンキングを使って、2014年3月から2015年6月までの間に、山形県の男性(33)など5人に、最高で法定金利のおよそ150倍にあたる金利で、金を貸し付けた疑いが持たれている。
4人は、多重債務者名簿をもとに勧誘し、顧客は、全国で少なくとも287人いたということで、調べに対し、「闇金営業をしていたことに間違いない」などと話していて、およそ1年半の間に、8,000万円の利益を得ていたとみられている。

逮捕者は主犯格を入れて合計5人、期間は一昨年から昨年までの約1年ちょっとで8000万円の利益を発生させていると書かれております。この記事だけを読めば闇金がいかに悪質な行為を行ったいたのかは分かりますが裏側が見えてきません。そこで今回は動画のワンシーンから考察をしてきます。

逮捕者5人に対して使っている携帯電話は?
まず下の画像を見てください。闇金業者やネット詐欺会社が摘発された時に良く見る証拠品の画像です。

ここで気になるのは携帯端末の多さです。おおよ5人で営業を行っていたとのことですからそこから逃げた人物がいるとしてもそれほど多いとは思えません。その点を踏まえて画像を見てください。
携帯端末の数が多すぎるのです。少なくとも画面上では15台の端末がみてとれます。なぜこれほど端末だけがおおいのか?これが今の闇金を物語っていると言えます。

複数の闇金業者の演出とシステム金融

少し前に流行した闇金の手口でシステム金融と呼ばれる手法があります。
一度闇金被害に遭った顧客はカモリストという彼らのネタ帳に記載されます。このネタ帳に記載されると何度でも詐欺営業の電話がかかってくることになり被害が膨らんでいきます。例題を出して説明してみます。

闇金Aが押し貸し詐欺で利益を出す。

被害者がパンクするころ合いを見計らって同じグループの別人物が闇金Bを名乗り新規電話をかける

タイミングを見計らって闇金Aは被害者に対し嫌がらせを激化することで闇金Bに誘導していく

闇金BAよりもさらに厳しい条件、小額の金額を振込み取立行為を激化させます。この時点では被害者は2か所に返済する状態になってますが実際には1つのグループです

闇金Bでも返せなくなると闇金Cもしくは債務整理を名乗る人物が登場します。

「ウチでおまとめすれば返済日をまとめられる」などと甘言を弄してきますが実際には融資などは行っておらず手数料や更新料を搾取するための役割でしかありません。

この時点で3者からの取立になり、生活が立ち行かなくなってきます。

こうしたやり方はセット金融やシステム金融と呼び押し貸し詐欺の前身だと言われております。今回逮捕された闇金はこうしたシステム行為を行っていた可能性があると当サイトは考えます。仮に15台の端末と言うことであれば1人あたり3台の端末を所持していると想定できます。
つまり1被害者に対して3つの金融会社を演出してお金を搾取していた可能性があるということです。

パソコンは地図情報と勤務先を調べるため

押収物の上に2台のパソコンを見ることができます。証拠が残るため業者はパソコン内に帳簿を作るようなことはしません。仮にエクセルを使って帳簿らしきものを作ったとしてもすぐに削除して痕跡を残さないようにします。
徹底している闇金ならノートや打ち出した紙のリスト内に書いていくでしょう。
では、このパソコンは何につかわれているのか?
ここが現代闇金の怖さです。パソコンは被害者の状況を調べるために利用されることが多くなってきているのです。
闇金の基本は追い込み行為ですから、被害者がキャンセルの意向を示したり支払いを拒否すればできるだけ強い方法で被害者の意思を打ち砕くような行為をしてきます。
現状では勤務先に電話をかけてきて、あること無いことまくしたて、会社での立場を悪化させる方法が取られているようです。押し貸し詐欺の場合は勤務先以外にも親族の固定電話番号や勤務先などを聞き出し回収率が下がらないようにしています。
この時、相手から聞き出した情報を最大限に活用するため情報の補足をするのがパソコンの役目です。実際にパソコンを使って何をしているか書き出してみます

・勤務先名からその会社のホームページを探しだし電話番号や住所を調べ場合によっては本社などへ直接電話をして嫌がらせをする
・家族構成を聞いている場合、子供の年齢を聞き出し被害者の住所の近辺にある学校を調べ電話をかけて追い込み行為を行う。
・嫌がらせをするため最寄りのピザ屋、蕎麦屋を調べ電話で10人前単位で注文し被害者宅へ送りつける
・闇金告知サイトや口コミサイトに自分たちの闇金名や電話番号が出ていないかチェックし、載っていると金融名を変えたり、電話番号を変更する

少なく書き出してもこれだけのことを2台のパソコンで行っていると言えるのです。

金利計算はせず懐をみて回収する

次に記事に書かれている数字から今の闇金が金利計算ではないことを考察します。

287人で8000万円の利益
1人あたりの回収額は278,746円

これはあくまでも平たく考えた場合であり実際には、盗れる被害者からむしり取ると言うのが実情でしょう。下記の画像を見てください。

闇金が書いている顧客情報だと思われます。ここに  とありますがこれは被害者が希望している融資額のことであるとわかります。それに対して闇金は満額貸付を行ってません。1万円から2万円、5割という記載がみてとれます。この記録には完済額など一切書かれておりません。また、貸付などの言葉もありません。つまり闇金と言われてますが業者側では貸付だと思っていないということです。

現在の押し貸し詐欺の基本は、
5,000円から2万円の振込に対して1週間から10日で倍払いが基本です。完済は無く何回その行為を繰り返せるかが業者の腕の見せ所ということです。
1万円の振込に対して返済が1週間ごとに2万円、闇金は1週間ごとに1万円の利益をあげてくるということなのです。
さらにここが重要なのですが、押し貸し詐欺はヤミ金行為に似てますが、詐欺と言う言葉が使われています、押し貸し闇金とは言いません。
何が違うのか?
金融には完済がありますが、詐欺には完済概念はありません。つまり一度でも支払いをした人物は永遠に支払いを続けるように追い込むのが今の闇金なのです。
被害相談で、
「完済させてくれない」
「融資する条件と言う名目で永遠にお金を払わされる」
「キャンセルすれば手続き料がかかるし、返済履歴を作れと毎週金を要求される」

と相談がはいりますが、そもそも貸付概念が無いので終わりなど無いのです。

最高で法定金利の150倍と書かれてあると言うことは、1万円から2万円の振り込みに対して100万円以上ものお金を1年半で支払っていた人物もいると言うことなのです。

最後に彼らが罪を認めているのは、
「闇金営業をしたと事は間違いない」
ということも気にしておくべきであると言えます。
高利貸しの罪であれば出資法違反での容疑となり刑罰は、懲役5年以下、または罰金1,000万円以下(併科あり)です。

これが詐欺の場合だと、犯罪をおこなったものは10年以下の懲役に処され、犯罪によって得たものは没収(19条)または追徴(20条)される。組織的に行った場合は組織的犯罪処罰法により1年以上の有期懲役と罪が重くなる(同法3条第1項第13号)となり、倍以上も重い罪に問われることになります。

彼ら業者はヤミ金行為を認めることで出資法違反という軽い罪で逃げたいと言う思惑もこの記事から読み取ることができるのです。

ヘッドライン:ネットバンキングのヤミ金を逮捕 最高で法定金利の150倍
犯罪をおこなったものは10年以下の懲役に処され、犯罪によって得たものは没収(19条)または追徴(20条)される。組織的に行った場合は組織的犯罪処罰法により1年以上の有期懲役と罪が重くなる(同法3条第1項第13号)。">http://犯罪をおこなったものは10年以下の懲役に処され、犯罪によって得たものは没収(19条)または追徴(20条)される。組織的に行った場合は組織的犯罪処罰法により1年以上の有期懲役と罪が重くなる(同法3条第1項第13号)。

記事元:Copyright(C) 1996 – 2016. Fuji News Network. All rights reserved.
※2017/3/2元記事が無くなっておりましたのでリンクを廃止致しました。

闇金業者の手口を教えてください。常に進化する業者の詐欺行為、電話番号、担当者名などを教えていただくことで被害を未然に防げる可能性が上がります。


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