押し貸し詐欺に騙された結果
新年度がスタートして新しい新人のみなさんが会社に入ったのではないでしょうか。世間がフレッシュな雰囲気になっているこの時期ですが闇社会も同様に違法世界に足を踏み入れた人たちがいることに憂慮します。
若くして犯罪予備軍として全体像も見えずに目の前のことをこなすことだけを教えられ、それが重大が犯罪と認識出来ないのはある種の同情を禁じ得ませんが犯罪は犯罪です。そして自分の身を守るのは自分しかいません。
さて本日はここ最近になって押し貸し詐欺が復活にあるのではないかという傾向が確認出来ましたので記事にしてみました。
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・押し貸し詐欺とは
ここ2年ほど携帯電話買取詐欺や銀行口座のだまし取り詐欺の台頭におされそのナリを潜めておりましたがネット闇金の一時代を作り上げた悪辣な詐欺手口であることに変わりはありません。
この手口はその名の通り「詐欺」として認知されておりますのでこの点をしっかりと知識として蓄えてくことで被害の拡大を防ぐことができます。
具体的な手口を説明するにあたり被害者の実話を例とさせていただきます。
◆個人情報をだまし取るまで
きっかけは被害者がお金に困りネットで検索をしていたところ、即日融資専門、当日振込、ブラックOKなど派手な見出しを掲げているサイトからみたことが無いサイトにたどり着き申込をしたところ相手から電話が入る。
業者:「もしもし●●さんでいらっしゃいますか?この度はお申込みいただきましてありがとうございます。融資担当をするタナカといいます、これから色々と●●さんとお付き合いさせていただきますのでよろしくお願いします。」
被害者:「はい、よろしくお願いします。」
業者:「さて、早速ですが仮審査はすでに通っておりますので本審査に入る前にいくつかご質問させていただきますがいまよろしいでしょうか。」
被害者:「はい」
業者:「ありがとうございます。ではまず●●さんの本名ですがスズキヨシコ(仮名)さんで間違いありませんね?」
被害者:「はい。」
業者:「はい、ありがとうございます。ではいくつか質問します。まずスズキさんの勤務先ですが■■株式会社でご連絡先は***-***-****で間違いありませんか?もし違っているようなら正確な連絡先を教えてください」
被害者:「間違いありません」
業者:「はい、確認しました。では次にスズキさんに何かあった場合などに連絡できる緊急連絡先を頂けますでしょうか」
被害者:「え?会社だけではダメなんですか?」
業者:「はい、もし休日などに何かあった場合、会社がお休みだと連絡が取れなくなってしまいますよね。それとあくまでも緊急連絡先ですからわたしたちが電話することはありません。事務的なことなのでそんなに緊張しないでください」
被害者:「わかりました。主人の連絡先が080-****-****です。実家は***-***-****になります。これで良いですか?」
業者:「はい、ありがとうございます、もう少しだけ教えてください。ご主人のお名前と勤務先は教えていただけますか?」
被害者:「え?それも教えないと融資してくれないんですか?」
業者:「あくまでも事務的なことなのであまり緊張しないでください。ただ必要情報がそろわないとわたしも上司に怒られてしまうので融資出来ない可能性はあります。わたしもスズキさんには是非、融資を受けてもらいたいのでご協力をお願いします」
被害者:「わかりました。主人の名前はスズキアツシです。会社は▲▲株式会社です。それでいつ融資とかになりそうですか?」
業者:「はい、ありがとうございます。最後にスズキさんの融資を振り込むための口座を教えてください。
これから融資についての本審査に入りますので少しおまちください。追ってお電話いたします。それでは失礼します」
皆さんが勘違いされるのは闇金業者はいつでも威圧的で脅迫前提で話をするという点ですがこれは大きな間違いです。昭和ならいざ知らず平成で情報過多の時代にそんな旧石器自体のやり方をしていても誰も騙されません、詐欺の入り口で違和感を感じで着信拒否されてしまいます。
業者はその時がくるまでは大変に紳士的で親切丁寧です。
だから騙されるのです。
個人情報をだまし取られてしまうポイントを挙げておきます。どれも会話の中に巧妙に擦り込んできますのでうっかり教えることが無いように注意が必要です。
・仮審査が通った
>>なんだかわからないけど審査を1つクリアしたという幻想を与えるために使われている言葉です。合法的なキャッシング会社では使わない言葉ですから電話口の人物が仮審査と発言したらその時点で闇金を疑っても間違いはありません。
・緊急連絡先を教えてください
>>勤務先以上の個人情報を執拗に知りたがるのは理由があるからです。専業主婦であればご主人の勤務先等を訊かれるかもしれませんが、通常であればご主人の個人情報やご主人の勤務先情報などは聞きません。
また子供の年齢や子供の学校などについて質問されることもありますので子供の学校や両親の連絡先、実家の電話番号をきかれても違和感を感じて早急な行動に出ないことが大切です。
・やけに協力的な発言
>>業者がやけに協力的で親切な発言をする場合も注意が必要です。貸金業は貸せるか貸せないかしかありません。担当者がお客さんに肩入れすることはありません。頑張って融資を受けましょう!などと金融業者が発言することなどあり得ないのです。
ここまでで時間にすると約15分程度です。詐欺の仕掛けなのでテレビドラマ等では時間をかけてドラマチックに演出しますが実際にはこれくらいの時間です。
さて次は詐欺のトークです。
◆詐欺をしかける
15分ほどで再度、業者から電話がかかってきます
業者:「スズキさんですか、タナカです。本審査ですがいくつかお知らせしなければなら愛ことがでてきました、いま少しお時間よろしいでしょうか」
被害者:「はい、どうでしたか?」
業者:「実は融資はほぼ確定しているんですが、スズキさんの記録を信用情報会社で調べたところブラックになっているんでそのままでは融資出来ないとなってるんですよ」
被害者:「はぁ、それではダメってことですか」
業者:「おそらく他の金融会社に審査してもらってもどこも通らないと思います。ただウチの場合はいま、融資キャンペーンをやってるので独自審査というかたちで融資できるのでご安心ください」
被害者:「はい。」
業者:「独自審査で融資を受けるにはまずスズキさんとウチの間で信用を作らないといけません。信用ができたらすぐに満額融資を受けられるので一緒に頑張りましょう。ぼくもスズキさんには融資を受けてもらいたいので」
被害者:「ありがとうございます」
業者:「信用を作るためにはまずぼくのほうからスズキさんに1万円を振り込みます。それを明日までに一度2万円で支払いをして下さい。それを数回繰り返すことで信用が出来るので信用できたら即日で振り込みます。それと返済履歴を作り間に払ったお金は利子から引いておきますので安心して下さいね。」
被害者:「わかりました」
業者:「では3時までに振込をするので確認できたら一度電話ください」
==振込確認をすると5000円が入金されていたので折り返し電話をする
被害者:「あの、振り込みはあったんですけど5000円でした。これは?」
業者:「はい、手数料を引いた額になります。でも信用履歴を作るためですからスズキさんが返済した金額は利子から差し引くので大丈夫ですよ。それと明日なのですが午前10時にコンビニか銀行のATMの前についたらお電話ください。その時に返済用の口座を教えます。」
被害者:「はい、これって大丈夫ですよね?闇金とかじゃないですよね?」
業者:「スズキさん疑ってるんですか?わたしたちはちゃんとした貸金業者ですから安心してください。では明日お電話お待ちしております」
これが押し貸し詐欺のポイントです。注意すべき点がいくつもあるので丁寧に説明してまいります。
・信用会社で調べた
>>信用会社、信用情報機関(CIC、JICCなど固有名詞を使う場合もある)という言葉を使って信憑性を持たせてきます。確かにこうした信用会社は存在しております。しかし金融業者が大っぴらに信用会社に与信を取りましたなどということはありません。従って相手が信用会社の話をし出した時点で闇金と疑っても間違いにはなりません。
・独自審査
>>申込をして審査をして貸せるか否かを判断するのが消費者金融です。独自審査などというのは闇金業者が作り上げた造語です。各社が審査しているのですから各社の審査自体が独自なのです。金融業者が自分たちは独自審査枠もあるなどと言っている時点でこれまた闇金と判断しても問題ありません。
・信用を作れば貸しだせる
>>当サイトで何度も書いてきましたがキャッシング業界における信用とは過去の履歴でありこれから先の未来を指す言葉ではないのです。それまでの過去に未払いがあったり、現在も他社で未払いをしているなどそれまでの情報が信用会社に記録されているかなのです。消費者金融業の根幹は過去の金融に対する接し方を担保に貸すわけです。
だからこその無担保・保証人不要なのです。今度はちゃんと返しますと繰りかえしたところで今までに未返済があればその人の信用性はゼロということなのです。
従って業者が今度に期待というような言い方をしているのは業界慣習に反している発言であり闇金業者しか使わない言葉なのです。
・返済を繰り返す
>>押し貸し詐欺は小額の見せ金に対して何回、返済や信用作り名目でお金をだまし取るかなのです。業者が返済回数を言わなかったり、2,3回ですとあいまいな返事をするのは詐欺だからです。
被害者が騙されているうちは何度もおかわり要求をするだけなのです。それが10回や20回に及んだ被害者の報告もあるほどなのです。
返済履歴ということばはまやかしにすぎません。履歴は過去をさすことばであり未来をさすことばではないのです。
・コンビニかATMの前に・・
>>その場で返済用の口座を言わないのは2つの理由があるからです。1つは返済用口座が個人口座であるため事前に教えてしまうと被害者が知人、友人に問合せをして詐欺であることがバレてしまうため売上が上がらないためです。
2つ目は犯罪用の口座は常に凍結されてしまうため当日までどの口座を使って集金するかがわから無い状態であるためなのです。
3つ目はその場で考える時間を与えないためです。コンビニやATMの前という特殊な状態で電話をすることで被害者が違和感を持っていたとしてもその場で口説いてしまえる時間が作れるということ、そしてお金を払えばすぐに融資がもらえますよと発言することで被害者のアクションを誘発させるためです。
いずれにしても相手が銀行口座を教えない、当日コンビニかATMの前についたら電話しろと言っている時点でまっとうな業者ではありませんので話を真剣に聞いてしまうのは危険だと言えます。
そして最後は闇金と付き合った被害者の結末についてです。
◆まともな社会生活が送れない
最後に押し貸し詐欺業者と関わってしまったがために人生が180度変わってしまった被害者の顛末についてご説明します。闇金業者の悪辣な追い込みや取立行為については今回は割愛します。気になる方は下記のリンクから業者の執拗な取立についての実話をご確認ください。
闇金の執拗な取立行為をつづった実話
では押し貸し詐欺業者に関わってしまった結果、思いもよらない悲劇に見舞われてしまった被害者実話となります。
執拗な押し貸し業者の金銭要求に対して弁護士事務所を介入させてなんとか被害を食い止めたことで闇金問題が終結したとおもっていた被害者のもとに1通のハガキが届きます。
被害者:「銀行から口座利用停止のおしらせをもらったんですけど?」
銀行:「はい、スズキ様の銀行口座のご利用を停止させていただくご案内です。異議申し立ても可能なのでご検討のほどお願い申し上げます。」
被害者:「どういうことですか?わたしがなにか悪いことでもしたのでしょうか?」
銀行:「詳しくはわかりかねますが警察から口座に関する通達がありましたのでご利用を停止させていただきます。詳細は警察にお伺いされた方がよいかと思います。」
被害者:「止めたのが警察なんですか?それどこの警察か教えてもらえますか?」
銀行:「はい、通達は●●県●●市の■■■警察署です。」
被害者が警察に電話する。
被害者:「スズキと申します。私の銀行口座をこちらの警察が凍結依頼をだされたということで電話したのですが」
警察:「担当です。スズキさんが振り込みをしていた銀行口座ですが被害届が出ており詐欺に使われた形跡があるので現在、捜査中です。その過程上でスズキさんの口座も犯罪に関係がある可能性があるということです。」
被害者:「わたしは闇金にかかわってしまっただけです。私は被害者です。なぜ私の口座が利用停止にならないといけないんですか」
警察:「すべては捜査中ですから、追ってその件についてご意見をうかがうかもしれません」
被害者:「はい?わたしも逮捕とかされるってことですか?」
警察:「可能性は否定はしません。捜査をしている最中ですから」
被害者:「・・・・」
警察:「事情は察しますが闇金と知っていて付き合っていたりお金を返済していたということならそれは問題になってきます。」
被害者:「騙されたんですよ?」
警察:「いまそのあたりも捜査してますから」
被害者:「銀行口座を利用できるようにしてください」
警察:「それはできません。犯罪にかかわっている可能性がある以上、捜査がおわるまではどうにもできないのです」
被害者「・・・・」
※警察と被害者のやり取りは担当された警察官によっていくつものあるようなのでこれ1通りではありません。
他の相談者の報告では警察自体は銀行口座を凍結しているのではなく警察は預金保険機構に犯罪に使われた可能性がある銀行口座についてデータをアップしてくると言われた方もおります。
こちらにデータがアップされると銀行がチェックし自社のサービスを提供している場合、凍結されてしまいます。通常は銀行口座を闇金に売ってしまったり、だまし取られた方の口座が悪用され被害届が入ることにより犯罪で集金したお金が拡散しないように凍結されます。
しかし昨今では犯罪者がだまし取った口座に返金していた方の口座も止まっています。これは犯罪者が利用してお金を集めている口座にお金を入れる行為が問題になっているからであると推測出来ます。
法律家ではありませんので詳しくはわかりませんがおそらく犯罪収益移転防止法違反などに関係しているのだと思われます。
現実問題として、押し貸し詐欺で返済をしていた被害者の方の口座が凍結され利用停止になってしまったという事例が発生していること、今後もこの流れは継続して続くため犯罪者と関わると自身の銀行口座までも止められてしまう可能性があることを認識しなければなりません。
この方は銀行口座を1つしか持っておりませんでしたので凍結が解除されないため給与の振込み、公共料金の引き落としなどが出来なくなってしまいました。
また銀行からは今後、口座の利用は出来ないと言われてしまい、社会生活に多大なる影響が出ております。
銀行側にいくら意義を申し立てても要として的を得た回答は得られず、警察に相談してくれと言われるだけです。
警察に相談しても解決するケースは少ないようです。他の相談者の方は警察官から、
銀行口座の凍結を管理するのは銀行なので銀行に行ってください
とアドバイスされたそうです。今回のケースに限らず押し貸し詐欺に関係した結果、預金保険機構に警察主導によるデータがアップされた場合、問題になった銀行口座以外に自身の持たれている全ての口座が凍結される可能性があります。
押し貸し詐欺業者と付き合うことは闇金業者、詐欺業者から金銭的な要求をされるだけではなくこうした社会生活に影響がでるような深刻な事態に陥る可能性があることを理解しなければなりません。
そしてそれは
「知らなかったのでなんとかしてください」
とか
「申しませんから今回だけは何とかしてください」
で解決される問題ではありません。当サイトで把握している限りの情報ではありますが一度、預金保険機構にデータがアップされてしまった名義人は全ての銀行口座が凍結するまでその流れは止まらない可能性が高いということです。
給与口座など生活に直結している口座は銀行も猶予してくれることもあるようなのですが、転職したのを気に止まってしまったりしているようです。さらに、このケースで口座凍結されている方は新規で口座を作ることができません。
意見が様々ありますが当サイトに報告される相談では5年以上前に凍結された方でもいまだに新規で銀行口座を作れないという方がおられるほどです。
そして新しく口座が作れたという方からの相談が1例も無いのです。
◆ソフト闇金と関わっても同じ結末
昨今、ソフト闇金と名乗る業者が台頭してきており、申し込みをし付き合いをした被害者の口座が凍結したと報告されるようになってきました。押し貸し詐欺と同様、相手の指定した口座にお金を支払う行為が法律に抵触している可能性があるのだと思われます。
貸してくれるなら闇金でもかまわん!
などと悪びれもせずに発言している方やそうしたブログサイトなどを見かけますが自分の銀行口座が凍結され、2度と使えないばかりか関連して自身の銀行口座がバタバタと凍結されもまだそんなことが言えるのでしょうか?
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