【事件を読む】闇金に通帳2万5千円で売り渡す、銀行口座売買は詐欺罪

銀行口座を売買するというのは銀行法違反になるだけでなく詐欺罪にも問われることを世間に知らしめたニュースがある。

今回は銀行口座売買について

携帯電話や銀行口座は銀行や携帯会社が本人以外の利用を禁止しているサービスである。バレなければいいだろうと思っていると思わぬ落とし穴にはまってしまう。
事件は奈良県警管轄で起きた金融機関の口座売買について詐欺罪として扱われたとしている。

問題なのは容疑者が闇金被害者であること。

闇金から借りた金を返すためにやった、と罪をみとめているということだが決して人事ではないのだ。
闇金相談を毎日受けていると、日増しに多くなっている相談の1つが、

銀行口座情報をこちらに渡せば貸付する

というもの。被害者さんの多くはこの時点でまっとうではない金融業者だと言う事を理解しているようだが、借りれるのならばと安易に情報を渡してしまっているケースが目立ってきている。以前は対価として5万円程度の振り込みがあったようだが昨今ではそれも無く、譲渡になっている。しかし、売買であろうと譲渡であろうと違法には変わりがない。

このニュースの書き方に注目してもらいたい。

 逮捕容疑は昨年3月5日、譲渡目的で同市内の金融機関で自分名義の口座を開設し、通帳とキャッシュカード各1枚をだまし取ったとしている。通帳は金を借りたとするヤミ金に2万5千円で売り渡していた。

これは闇金業者のことではなく、闇金被害者である容疑者を指している文章である。この一文を読んでもらってもわかるように世間では銀行口座の売買はその理由がなんであれ犯罪者という位置付けなのである。情状酌量の余地はまるでない。

当サイトでも何度か取り上げたが、押し貸し詐欺や融資保証詐欺業者が営業するにあたり必要なアイテムの1つがトバシの銀行口座である。彼らは違法業者からトバシ口座を買って営業しているのだが、銀行や警察の目が厳しくなったことで口座の価格が高騰した上、すぐに銀行口座が止まってしまうため経費が上がっているのである。
そこで、自前で銀行口座を調達するようになったのである。

このニュースはそうした闇金業者の事情が表面化したものである。

闇金業者の手口その実態

闇金「あなたはブラックだから保証人をつけてもらうしか貸付が出来ない。しかし、今回特例として信用を回復すれば融資できると社長が言っている。まず、あなたの口座が使えるかを確認して、返済履歴を作るのでキャッシュカードをこちらに送ってもらいたい。その後、こちらで入金して、返金する作業を行って返済履歴を作れば融資できる」

被害者「そんなことできません。キャッシュカードの暗証番号を教えるんでしょ?」

闇金「いや、入金時は必要ないです。ただ、返済履歴を作るための作業ですから入金したお金はうちが回収するので出金時には暗証番号を教えてください。もし不安ならそのあと、口座を解約してもらってもよいですし、今回の返済履歴を作るように新規口座を作ってもらっても大丈夫です。こんなチャンスでもない限り、どこいっても融資なんて難しいですよ

このようなやりとりが交わされ銀行口座を送ってしまっているのである。暗証番号を一度に聞き出さないことで安心感を与えたり、新規口座を作れば迷惑がかからないなど心理的な安心感を演出しているのが狡猾である。

騙されて送ってしまった口座は闇金が本回収するための口座に利用される。本回収とは押し貸し詐欺などで返済をさせるための口座のことである。これが彼らの収益吸い上げ用の口座で口座凍結される口座である。
多くの相談者が返済用の口座が個人口座で不信感を持っているのだが、それはこのようなカラクリなのである。
押し貸し詐欺の最初の振込は闇金業者が行っているケースもあれば、別の被害者が行っているケースもある。

今回の記事で逮捕されてしまった被害者が盗られてしまった口座は闇金にメイン口座として使われたことが文面から読み取れる。
この口座には毎日不特定多数御人物からお金が振り込まれ、都度引き出されていることが分かる。
出し子と呼ばれる人物がコンビニなどで入金連絡がある度に全額引き落としをする。
こうすることで警察や銀行、弁護士によって口座凍結依頼がはいり口座が止められても中に現金が残る可能性を小さくしているのである。
特徴的な動きをするため銀行側でもすぐにアラートがかかり、口座名義人に連絡が入るシステムになっていると言える。このタイミングが今年に入ってから早いのだと思われる。
早ければ1週間とたたずに口座凍結されているようである。
闇金側もこの早さを理解しているため1つの口座の寿命を1週間程度で考えている。彼らが1ヵ月仕事をしようと思ったら最低でも4枚以上のトバシ名義口座があると言うことなのである。

ニュースで逮捕された人物は合計で6つの口座を作ったと供述しているが、どこか1つの銀行で口座凍結されればほぼ同日にその名義人の口座は全て凍結される。
これは闇金側も知っており1つの名義人の口座を複数所有する事はなく、大抵はグループに販売してしまっているようである。

また、一度凍結されるとその名義人の情報は各金融機関に通達されるため現状ではその人物が口座を新しく作ることは難しいと言わざるを得ない。一生が台無しになると言っても過言ではないのである。

 

凍結された銀行口座を解除することは不可能では無いが大変な労力がかかると言う事を覚えておいていただきたい。
また、その解除方法については不特定多数が見る紙面上に書くことは適当ではないとの判断から差し控えさせていただく。

 

今回の事件を読むは、銀行口座を売り渡した男の背景とその口座の使われ方について掘り下げてみた。

文末になるがニュースソースを下記する
ヤミ金に通帳2万5千円で売り渡す 男を詐欺容疑で逮捕 奈良


Verified by MonsterInsights