銀行口座が凍結、闇金融が使う言葉に騙されない

前回の続きになるので読んでいない方は「銀行口座の売買は違法」を先に読んでください。ここでは闇金に口座を渡してしまった口座名義人がどうなったかについて話をすすめていきます。

融資が実行されない

相手にキャッシュカードと通帳を渡してしまいさらに暗証番号まで教えてしまった口座名義人であるが、待てど暮らせど融資は実行されずしびれを切らして闇金に電話をする。

「あの、いつになったら融資されるのか教えてください。それと、キャッシュカードとかお渡ししたままなので怖いのでそちらも送り返して下さい」
当然の主張である。そこで闇金の担当者はこう答えている、

「●●さん、融資が遅れていて本当に申し訳ありません。実は先月、大きな未回収が合って会社のルールが厳しくなってしまったんです。上司からこの取引履歴では満額融資はできないぞ!って言われてしまったんです。本当にごめんなさい。でも安心して下さい。僕の方であと数回取引履歴をつくってもう一回上司に掛け合うのでその時は本当に融資できると思います。あと少しだけ辛抱して下さい。僕もなんとか頑張って●●さんに融資できるようにやってみます。2週間あれば確実に上司OKでますからそれだけ待って下さい。ただ、これは僕も会社に対して背任になってしまうかもしれないので誰にも言わないでください。約束してもらえなければ融資の話も無かった事になってしまいます。」
期限をしっかりと言ってきている事や絶対に融資できるという言葉を何度も使われているため安心してしまい2週間何もせずに待つことにしたのだが、このことが口座名義人の人生を一変させる出来事になってしまったのである。

 

銀行から電話がかかる

ある日、銀行から口座名義人宛てに電話が鳴りこう切り出されたのだと言う、
「●●さんのお口座ですが、毎日不特定多数の振り込みがあるのですがどのようなお仕事をされているのですか?またどのように口座を使われているのか使用用途を教えてください」
闇金担当者から伝えられていた取引履歴を作っている最中なのだろうとピンときたが、担当から誰にも言うな
と言われていたため、電話口の担当者にもその旨は伝えなかった。

「ちょと個人的にビジネスを始めたのでそれで振り込みがあるんです。でもあと少しでやめてしまうのでそれまでですから」
と言葉を濁してしまったのである。ここで銀行側から何を言われたのかははっきりと覚いだせないということなので会話形式ではなく、起きた事について説明をする。
この後も闇金からの融資は一向になく、何度となく担当者に電話するも上司決済がもらえないの一点張りで時間だけが経過するようになってしまった。その間、通帳もキャッシュカードも無い状態の口座がどのように鳴っていたかを知るすべもなかった。

銀行口座が使えない!

月末になりクレジットカード会社から引き落としが出来ないので振り込み手続きをお願いしますという電話がかかる。お金はいつも通り入れているはずなのだが引き落としができないことに合点がいかず引き落とし用に使っている口座の残高を調べにATMへ向かった。
そこで、キャッシュカードを入れいつものように使おうとするとATMの画面がいつもと異なり、キャッシュカードが戻ってこなくなってしまったそうである。さらに、残高などを確認することもできず、ATMのモニターには銀行に連絡をして下さいといった記述が出たと思うと言うことでした。(注。出来事は後日相談で伺っているのですが、ショックで本人の記憶があいまいになってしまっているためこの辺りの記述については正確性に欠けていると認識した上で拝読願います。)
あわてて他のキャッシュカードについて確認をするも全てのカードが使用不可になってしまっていたそうである。
この時点で何が起こったかわからないのでメインバンクに電話をしたところ電話口の人物から口座名義人の口座を凍結した旨、伝えられたとのこと。詐欺行為の振り込み用口座として使われている可能性があるため口座の凍結をしたということなのである。口座名義人自体は何を言っているのかさっぱり分からず、闇金担当者から言われた事をそのまま銀行員に伝えたところ、口座の譲渡は認められていないので名義人本人の責任であると言われてしまう。
それでも納得がいかず、教えた口座は他行であることを強調しこの銀行の口座が止まる事はおかしいと繰り返し担当者に話をするも、犯罪の可能性がある以上凍結を解除することはできないの一点張りであり解除する手続きなどについても教えてもらえ無いとのことである。

その後警察に相談に行く事になるのだが、警察でも銀行と同じように口座を売買、譲渡することは禁止されており、知らなかったで済まされる問題ではないと言われている。

自分の口座が振り込め詐欺の口座に

銀行、警察に相談しても解決が見込めないと判断した口座名義人は弁護士に依頼をすることになったのだがそこで初めて、自分名義の口座が闇金の回収用口座として使われていた事を知る。預金保険機構なるサイトで振り込め詐欺に使われている銀行口座を検索できるサービスを提供しているのだがそこに恐る恐る自分の名前を入力したところ、名前が出てきてしまったのである。
銀行が連絡をしてきた不特定多数からの振り込みと言うのは同じ闇金被害者の返済金だったのである。また、押し貸し詐欺であったため小額の押し貸しの振り込み名義人としても使われていたこともわかってきた。結果的に闇金の犯罪行為に加担してしまったのである。
闇金を融資会社と思いこみ、担当者を良い人物だと勘違いしたことにより自分の人生が一変してしまった恐ろしい出来事であるが決して他人事ではないと思って読んでいただければ幸いである。
現状、振り込め詐欺や闇金など犯罪行為に使われた口座名義人が新しく銀行口座を作ることは限りなく難しいと言わざるを得ない。一般的な職業の多くは給与の振り込みが銀行経由であるし、支払いなども引き落としなどが一般的である。さらにクレジットカード会社など信販会社は銀行口座を持っていない時点でサービスを受けることはできない。

このように日常生活自体が変わってしまうほどに銀行口座とは大切な存在なのである。
最後に、預金保険機構の口座検索ページを下記して今回の文章の締めとする

ここでは振り込め詐欺に利用された口座を検索するための条件を指定します。
振り込め詐欺救済法に基づく公告-口座情報検索条件の指定

闇金と関係が無いご相談や新規口座の取得などについてのご相談は受けておりません。


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